インプラントとは「体内に埋め込む医療器具・材料」のことです。
英語のスペルは「implant」で、「植え付ける」「差し込む」「移植する」といった和訳できます。歯科領域では、あごの骨に埋め込む人工歯根を「歯科インプラント」と呼んでいます。
インプラント治療は入れ歯治療と同じく1本から全ての歯まで対応可能です。しかし、インプラント治療は誰でも受けられるわけではなく、治療を開始するにはいくつか条件があります。
IMPLANT
インプラント
義歯を入れる際、インプラント治療を検討する方は多いと思います。近年は、入れ歯がどうしても合わない、隣の歯を削りたくない、様々な事情によりインプラントを選択される方が増えています。
しかし、「インプラントの手術は痛い」「費用が高額」などのイメージがあり、治療を躊躇している方もいるでしょう。
確かに、インプラント治療には外科処置が必須のため、他の方法よりも費用は高いです。しかし、痛みに関しては、ほとんど抜歯をするのと同じような感じで終わりますので安心してください。
インプラント治療とは
インプラント治療に必要な
条件とは?
インプラント治療には手術が必要なため、下記に当てはまる方は治療を受けられない可能性があります。
- ・
- 全身状態が悪い方
- ・
- インプラントを埋め入れる予定部位のあごの骨が丈夫でない方
また、下記に当てはまる方は要注意または担当医師への相談が必要です。
- ・
- 高血圧症や心臓疾患などの循環器系疾患、喘息などの呼吸器系疾患、糖尿病や骨粗しょう症などの既往歴がある方
- ・
- 歯周病などの基礎疾患がある方
インプラント治療の流れと
治療期間
インプラント治療を受ける際の流れは下記の通りです。治療期間は本数や口腔内の健康状態により異なりますが、1本あたり4~6ヶ月程度が一般的です。
-
カウンセリング
患者様のお口の悩みをヒアリングしたうえで、インプラントの概要やメリット・デメリット、インプラント以外の効果的な治療方法などを丁寧にご説明します。 -
検査・計画
歯周病の検査やあごの骨の密度・量の検査など、事前に必要な検査をします。検査結果や健康状態、かぶせ物のご要望などから、今後のスケジュールや費用を算出し、治療計画を策定します。 -
一次処置 インプラント埋入
歯の根となる、インプラント体をあごの骨に埋め込みます。処置時間は1本あたり15分程度です。 -
抜糸・仮歯調整
処置後、2週間程度でインプラントを埋め込む際に使用した糸を抜糸します。 -
待機期間(2~3ヶ月程度)
インプラント体と骨が結合して一体化するのを、平均して2ヶ月~3ヶ月程度待ちます。 -
二次処置 アバットメント取付
歯茎を再度開き、骨とインプラントが一体化していることを確認します。定着が確認できたら、インプラントの頭にキャップを装着します。 -
型取り
患者様にあわせたオーダーメイドのトレイまたは器を使って、インプラントの型を取ります。 -
完成
歯となる被せ物の土台を取り付け、被せ物を装着したら完成です。 -
メンテナンス・定期検査
インプラントは、天然の歯と同様にメンテナンスが必要ですので、術後はお口の中の環境を維持するためのブラッシング指導などを行います。その後、3〜6ヶ月に1回程度、定期的なメンテナンスや定期検査を行います。
インプラント治療に関する
Q&Aまとめ
近年人気のインプラント治療ですが、周囲に実際に受けた方などがいないと不安が付き物ですよね。インプラント治療に関するよくある質問を見てみましょう。
インプラント治療にデメリットはある?
インプラント治療は一度手術すれば、半永久的な効果が期待できます。また、義歯をしっかりと固定して根っこの機能を回復できるため、本来ある自分の歯のような感覚で噛めるようになります。
しかし、インプラント治療は原則的に保険適用外となり、健康保険がきかないので自費診療になります。そのため、費用が他の義歯治療に比べて高額(30~40万円程度/本)です。
ただし、外傷・腫瘍であごの骨を失った場合や骨移植を行なった場合、先天的に歯やあごの骨がない方などは健康保険が適応されることもありますので、気になる方は、事前に担当医師に相談しましょう。
インプラント治療の手術時間はどれくらい?
骨の状態や本数によっても手術時間が異なりますが、1本あたり30~60分程度が一般的です。インプラント手術と同時に骨再生をする場合には、事前に骨再生術を行う場合より短く、10~30分程度の時間で行える可能性が高いです。
インプラント治療の痛みは?腫れたりしない?
インプラント手術は外科治療ですが、「親知らずの抜歯程度」と言われることもあり、本数が少なければ手術時間はそれほどかかりません。手術には麻酔が必須で、また麻酔が効いているかどうかも確認するので安心です。
埋め込むインプラントの本数が多い場合や、骨移植範囲や抜歯も行った場合などは、薬だけでは抑えきれず、腫れや痛みを感じることもありますが、腫れの期間は手術後2~3日ほどで、1週間ほどで引くことが一般的です。
当院のインプラント治療
当院はインプラント治療に力を入れている歯医者です。事前の診断を確実に行い安心、安全の処置を行っています。症例に沿ってチタンインプラント、HAインプラントの使い分けを行っております。 また、多くの歯牙を失った方でも必要最低限のインプラントの本数で治療することもできます。最近では、抜歯をした当日にインプラントを埋入する即時インプラントも積極的に取り組んでいます。 もちろん噛めるようになるには数ヶ月かかりますが、治療時間の短縮も心がけています。 第三の歯と呼ばれるインプラント。噛める快適な環境を取り戻しましょう。 その他の義歯治療はこちら
症例:50代男性
上の前歯 インプラント治療
上の前歯がぐらついたので、歯科医院を受診した。
昔、直した歯が割れていると説明された。さて、どうしようか。
レントゲンでは破折線が明確に確認できなかったが実際はかなり動揺しており保存はできないのでは?
かぶせものを除去した結果、やはり破折していた。
残っている歯質が少なく、抜歯して、インプラント治療を検討する。
インプラント治療
上の前歯なので治療期間中、歯の裏面から仮の歯を装着。
治療中でも審美性を保つ。
破折した歯は抜歯して、インプラント治療
隣の歯は、審美性を整えるために同時に被せ物を作り直した。
2024年8月現在、インプラント治療してから3年経過。
年に数回の定期検診で状態を確認し、セルフケア&プロケアで維持していく。